APEX NEWS Vol.80(2026年 秋号)
◆━ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○ PICKUP
「AI開発者が警鐘を鳴らす「AI終末論」とは?」
○ ITトレンド情報
・Apple、同社初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を発表
・文章を書かないAI「Jev」が話題に、元OpenAI研究者が開発
など
○ 技術情報
1. Microsoft 月例更新セキュリティ情報(2026年7月~9月分)
2. APEXセキュリティ情報
○ お知らせ
お問い合わせ窓口に関するご案内
DM配信スケジュール
ご質問受付について
次号配信予定
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━━★PICKUP 「AI開発者が警鐘を鳴らす「AI終末論」とは?」★━━
生成AIは業務効率化や情報検索の高度化など、私たちの働き方を大きく変えつつあります。その一方で、AI開発の最前線にいる研究者や経営者から「AIの進化速度に安全対策が追いついていないのではないか」という警鐘が相次いでいます。最近、この議論は「AI終末論」として大きな注目を集めています。
https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/433/4433754/
話題の発端となったのは、元OpenAI・Anthropic研究者のジェイコブ・コクソン氏です。同氏は2026年9月、自身が所属していたAI企業について「自己改善する超知能(スーパーインテリジェンス)へ向けた競争を続けており、安全性への配慮が十分ではない」として退職を表明しました。また、「AIを開発している人々の中には、将来的にAIが人類へ深刻な影響を与える可能性を本気で懸念している人がいる」と発言し、大きな反響を呼びました。
さらに注目されたのは、AnthropicでAIの安全性研究を率いるエヴァン・ハビンガー氏が、コクソン氏の主張に一定の理解を示したことです。同氏は「超知能に対する完全な制御方法はまだ確立されていない」と述べており、業界内部でも安全性への懸念が存在することが明らかになりました。
もちろん、これは今のChatGPTやClaudeが危険であるという意味ではありません。研究者たちが懸念しているのは、将来的にAIが自ら次世代AIを開発し、人間の能力を大きく超えるような段階に到達した場合です。こうした超高度なAIが人間の意図と異なる行動を取った場合、社会インフラやサイバー空間への影響が発生する可能性が議論されています。
こうした懸念を背景に、近年はAI開発のスピードを見直すべきだという声も強まっています。2026年9月には、AnthropicのCEOであるダリオ・アモデイ氏が「AI開発のペースを調整すべきだ」と提言しました。同氏は第三者による監査体制の強化や、AI企業間での共通安全基準の整備を提案しています。そして驚くべきことに、ライバル企業であるOpenAIのサム・アルトマン氏や、Xのイーロン・マスク氏も賛同を示しました。
一方で、AI開発の減速には反対意見もあります。トランプ大統領は、中国との技術競争を理由に「米国が開発の主導権を維持すべきだ」と主張しており、安全性よりも競争力を重視する立場を示しています。
https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/434/4434468/
こうした動きを受けて、2026年9月にはOpenAI、Anthropic、Google DeepMindがAI安全性に関する協議を進めていることも報じられました。競争関係にある企業同士が協力して安全対策を議論することは極めて異例であり、AI業界全体が安全性を重要課題として認識していることがうかがえます。
https://www.itmedia.co.jp/news/article/2609/16/2000001522/
「AI終末論」という言葉だけを見るとSF映画のような話に思えるかもしれません。しかし実際には、AI開発を止めるべきかという議論ではなく、急速に進化する技術をどのように安全に活用していくかという現実的な課題が背景にあります。私たち利用者に求められるのも、過度に恐れることではなく、AIの利便性とリスクの両面を理解しながら適切に活用していく姿勢なのかもしれません。
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━━★IT トレンド情報★━
1. 開けば7.6型、閉じればパスポートサイズ! iPadとiPhoneを統合する究極のデバイス「iPhone Duo」誕生
Appleは、同社初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を発表しました。閉じた状態では5.4型の外側画面を使用でき、パスポートに近いサイズ感で持ち運べます。開くと7.6型の大画面となり、従来モデルより広い表示領域を実現。チタンフレームやA20 Proチップを採用し、2つのアプリを同時に操作できる機能にも対応しています。折りたたみ構造を活用した独自の撮影機能があり、本体を自立させた動画撮影・ビデオ通話も可能です。
https://ascii.jp/elem/000/004/433/4433653/
2. 「Jev」とは “文章を書かないAI”がなぜ話題に? 元OpenAI研究者が開発
元OpenAI研究者が設立したTypeSafe AIは、判断に特化したAIモデル「Jev」を発表しました。ChatGPTのように文章を生成せず、「どれを選ぶべきか」「重要度は何点か」といった判断結果だけを返すのが特徴です。応答時間は70〜500ミリ秒で、同社は既存の大規模言語モデルと比べて20〜200倍高速、40〜1000倍低コストと説明しています。問い合わせの振り分けやデータ分類、AIの出力チェックなどへの活用を想定しています。大量の軽い判断を高速かつ低コストで処理できるなら、これまでLLMのコストや遅延では採算が合わなかった自動化も実現できる可能性があるということで注目を集めています。
https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2609/20/2000001664/
3. さくら不正アクセス ハッシュ化されていない初期パスワード漏えいの可能性、レンタルサーバとVPSの一部契約者で
9月10日、さくらインターネットは不正アクセスに関する調査結果を公表し、さくらのレンタルサーバとさくらのVPSの一部で、ハッシュ化されていない初期パスワードが第三者に閲覧・取得された可能性があると明らかにしました。また、販売管理システムに保存されていた顧客情報について、約136万件の会員アカウント情報が閲覧・取得された可能性があると説明しています。さらに、利用者識別子やログ情報などが閲覧・取得された可能性のあるレンタルサーバ利用アカウントは951件に拡大しました。対象利用者にはパスワード変更などの対応を進めています。
https://www.itmedia.co.jp/news/article/2609/10/2000001360/
━━★マイクロソフト セキュリティ情報★━━
~Microsoft 月例更新セキュリティ情報~(2026年7月分)
深刻度:緊急「10件」重要「3件」
詳細情報:https://www.microsoft.com/en-us/msrc/blog/2026/07/202607-security-update
~Microsoft 月例更新セキュリティ情報~(2026年8月分)
深刻度:緊急「6件」重要「6件」
詳細情報:https://www.microsoft.com/en-us/msrc/blog/2026/08/202608-security-update
~Microsoft 月例更新セキュリティ情報~(2026年9月分)
深刻度:緊急「9件」重要「3件」
詳細情報:https://www.microsoft.com/en-us/msrc/blog/2026/09/202609-security-update
━━★APEX セキュリティ情報★━━
■はじめに APEXセキュリティ情報とは
APEXセキュリティ情報は、各セキュリティ情報や製品情報を
弊社が特選し掲載をするものです。
Microsoft社に限らず、重要だと判断した情報は展開しておりますので
ご活用頂ければ幸いでございます。
情報源は、JPCERT/CCを主としております。
JPCERT/CC : https://www.jpcert.or.jp/
【1】NetScaler ADCおよびNetScaler Gatewayにおけるリモートコード実行につながる脆弱性(CVE-2026-8452)に関する注意喚起
●概要
watchTowr Labsは、2026年8月14日にCitrix NetScaler ADCおよびNetScaler Gatewayにおけるヒープベースのバッファオーバーフローの脆弱性の詳細分析を公表しました。同社は、本脆弱性が2026年6月30日に公表された、サービス運用妨害(DoS)や不審な動作につながる脆弱性(CVE-2026-8452)に関連するものとみており、NetScaler ADCおよびNetScaler GatewayがSAML SPまたはIdPとして構成されている場合に、認証なしでリモートコード実行が可能とのことです。その後、同社はWebshellを設置可能な概念実証(PoC)コードを公開しています。
watchTowr Labs
You’re Back In The Room (Citrix NetScaler Pre-Auth RCE CVE-2026-8452(?))
https://labs.watchtowr.com/youre-back-in-the-room-citrix-netscaler-pre-auth-rce-cve-2026-8452/
Cloud Software Group
NetScaler ADC and NetScaler Gateway Security Bulletin for CVE-2026-8451, CVE-2026-8452, CVE-2026-8655, CVE-2026-10816, CVE-2026-10817, and CVE-2026-13474
https://support.citrix.com/support-home/kbsearch/article?articleNumber=CTX696604
JPCERT/CCでは、2026年8月15日時点において本脆弱性の悪用を示す情報を確認していません。今後PoCコードなどを悪用した攻撃の発生が懸念されます。また、JPCERT/CCは、本脆弱性の影響を受ける対象製品が国内で広く利用されていることを確認しています。
本脆弱性の影響を受ける製品を利用している場合は、後述「III. 対策」以降に記載の情報を確認の上、対策の実施などを検討してください。
●対象
Cloud Software Groupが公表している脆弱性(CVE-2026-8452)の対象となる製品およびバージョンは次のとおりです。
– NetScaler ADCおよびNetScaler Gateway14.1-72.61より前のバージョン
– NetScaler ADCおよびNetScaler Gateway13.1-63.18より前のバージョン
– NetScaler ADC FIPS 14.1-72.61 FIPSより前のバージョン
– NetScaler ADC FIPSおよびNDcPP 13.1-37.272より前のバージョン
※Cloud Software Groupによると、脆弱性(CVE-2026-8452)の影響を受けるのはアプライアンスがゲートウェイ(SSL VPN、ICAプロキシ、CVPN、RDPプロキシ)またはAAA仮想サーバーとして構成されている場合であるとしています
※一方、watchTowr Labsが詳細分析を公開した脆弱性は、NetScaler ADCおよびNetScaler GatewayがSAML SPまたはIdPとして構成されている場合に、リモートコード実行が可能であるとしています
●対策
Cloud Software Groupは本脆弱性を修正したバージョンへのアップグレードを推奨しています。十分なテストを実施の上、修正済みバージョンの適用をご検討ください。詳細は、開発者が提供する最新の情報を確認してください。
●回避策
Cloud Software Groupは、本脆弱性に対する回避策を提供していません。
●侵害調査
watchTowr Labsが公開したPoCコードおよび技術情報に基づき、侵害の有無を確認する際には、次の点を調査することを推奨します。
– 想定していないPHPファイルへのアクセスがないか確認する
※watchTowr LabsのPoCコードでは”/var/vpn/theme/”配下に”x.php”というWebshellを設置しますが、実際の攻撃ではファイル名やディレクトリ、ファイル内容が変更されている可能性があります
– SAML通信において、通常と比較して異常に長いデータを含むSAML Responseが送信されていないかを確認する
※可能な場合は、SAML Response内の”SignedInfo”要素や”InclusiveNamespaces”要素の”PrefixList”属性に異常に長いデータが含まれていないかを確認します
※特にSAML ACS(環境によっては”/cgi/samlauth”など)へのPOSTリクエストについて、リクエストサイズやSAML Response内のデータ長を確認します
– “nsppe”プロセスが異常終了、または短時間に再生成されている痕跡がないかを確認する
※不審なSAML通信の直後に”nsppe”のクラッシュ、再生成、PID変更などの痕跡がないかを確認します
– “/bin/sh”のパーミッションが変更されていないかを確認する
※watchTowr LabsのPoCコードでは、Webshellを介して実行するコマンドの権限を昇格させるため、”/bin/sh”のパーミッションを変更する処理が含まれています
【2】2026年7月マイクロソフトセキュリティ更新プログラムに関する注意喚起
●概要
マイクロソフトから同社製品の脆弱性を修正する2026年7月のセキュリティ更新プログラムが公開されました。これらの脆弱性が悪用された場合、リモートから任意のコードを実行されるなどの可能性があります。
マイクロソフト株式会社
2026 年 7 月のセキュリティ更新プログラム (月例)
https://www.microsoft.com/msrc/blog/2026/07/202607-security-update
マイクロソフトは、これらの脆弱性のうち、次の脆弱性が悪用されていることを公表しています。マイクロソフトが提供する最新の情報をご確認の上、「II. 対策」を実施してください。
CVE-2026-56164
Microsoft SharePoint Server の特権の昇格の脆弱性
https://msrc.microsoft.com/update-guide/vulnerability/CVE-2026-56164
CVE-2026-56155
Active Directory フェデレーション サービスの特権の昇格の脆弱性
https://msrc.microsoft.com/update-guide/vulnerability/CVE-2026-56155
更新:2026年7月31日追記
今月のセキュリティ更新プログラムで修正された脆弱性の内、SharePointにおけるリモートコード実行の脆弱性(CVE-2026-58644)について、マイクロソフトは脆弱性が悪用されていると情報を更新しています。
CVE-2026-58644
Microsoft SharePoint のリモート コードが実行される脆弱性
https://msrc.microsoft.com/update-guide/vulnerability/CVE-2026-58644
また、別のリモートコード実行の脆弱性(CVE-2026-50522)については、米CISAのKEV(Known Exploited Vulnerabilities)カタログに登録されています。本脆弱性は、セキュリティ研究者により脆弱性の実証コードとみられる情報が公開されており、watchTowrが本脆弱性の実証コードを用いた攻撃を同社のハニーポットで観測し、SharePoint Serverからマシンキーが窃取されたと示す情報を公開しています。
CVE-2026-50522
Microsoft SharePoint のリモート コードが実行される脆弱性
https://msrc.microsoft.com/update-guide/vulnerability/CVE-2026-50522
watchTowr
CVE-2026-50522 Exploitation Alert: SharePoint On-Premise Vulnerability
https://www.linkedin.com/posts/watchtowr_exploitation-alert-watchtowr-is-observing-activity-7485278595850940416-LSP8/
CISA
Known Exploited Vulnerabilities Catalog CVE-2026-50522
https://www.cisa.gov/known-exploited-vulnerabilities-catalog?field_cve=CVE-2026-50522
これらの脆弱性については、悪用に関する情報が公開されていますので、Sharepoint Serverを使用している場合、速やかに対策および侵害有無の調査を実施することを推奨します。
●対策
Microsoft Update、もしくはWindows Updateなどを用いて、セキュリティ更新プログラムを適用してください。
Microsoft Update カタログ
https://www.catalog.update.microsoft.com/
Windows Update: よくあるご質問
https://support.microsoft.com/ja-JP/help/12373/windows-update-faq
●参考情報
マイクロソフト株式会社
2026 年 7 月のセキュリティ更新プログラム
https://msrc.microsoft.com/update-guide/ja-jp/releaseNote/2026-Jul
更新:2026年7月31日追記
SharePoint Server 2019およびSharePoint Server 2016は、2026年7月14日(現地時間)をもってサポートが終了しています。サポート対象の製品への移行をご検討ください。
SharePoint Server 2019
https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/sharepoint-server-2019
SharePoint Server 2016
https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/sharepoint-server-2016
今回の件につきまして提供いただける情報がございましたら、JPCERT/CCまでご連絡ください。
改訂履歴
2026-07-15 公開
2026-07-31 「概要」「参考情報」に追記
2026-07-31 CVE-2026-50522の悪用状況について追記
【3】Adobe AcrobatおよびReaderの脆弱性(APSB26-141)に関する注意喚起
●概要
アドビからPDFファイル作成・変換ソフトウェアAdobe AcrobatおよびPDFファイル閲覧ソフトウェアAdobe Acrobat Readerにおける脆弱性に関する情報(APSB26-141)が公開されました。脆弱性を悪用したコンテンツをユーザーが開いた場合、任意のコードが実行されるなどの可能性があります。詳細については、アドビの情報を確認してください。
アドビ
Security update available for Adobe Acrobat Reader | APSB26-141
https://helpx.adobe.com/security/products/acrobat/apsb26-141.html
●対象
対象となる製品とバージョンは次のとおりです。
– Adobe Acrobat Continuous(26.002.21900)およびそれ以前(Windows、macOS)
– Adobe Acrobat Reader Continuous(26.002.21900)およびそれ以前(Windows、macOS)
– Adobe Acrobat 2024 Classic 2024(24.001.30383)およびそれ以前(Windows、macOS)
●対策
Adobe AcrobatおよびAdobe Acrobat Readerを次の最新のバージョンに更新してください。
– Adobe Acrobat Continuous(26.002.21901)(Windows、macOS)
– Adobe Acrobat Reader Continuous(26.002.21901)(Windows、macOS)
– Adobe Acrobat 2024 Classic 2024(24.001.30429)(Windows、macOS)
更新は、Adobe AcrobatおよびAdobe Acrobat Readerの起動後、メニューの「ヘルプ」から「アップデートの有無をチェック」をクリックすることで実施できます。メニューからの更新が不可能な場合は、以下のURLから最新のAdobe AcrobatおよびAdobe Acrobat Readerをダウンロードしてください。詳細は、アドビの情報をご確認ください。
アドビ
Acrobat のダウンロード
https://helpx.adobe.com/jp/download-install/kb/download-install-acrobat-subscription.html
アドビ
Acrobat Pro 2024 をダウンロード
https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/download-acrobat-classic.html
●参考情報
アドビ
Latest Product Security Updates
https://helpx.adobe.com/security.html
アドビ
Adobe Acrobat を手動で更新する
https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/install-updates-reader-acrobat.html
━━★お知らせ★━━
~DM配信スケジュール~
3か月に1度(春号:4月 夏号:7月 秋号:10月 冬号:1月)配信予定
~次号配信予定~
2026年1月15日(金)
【編集後記】
秋の気配を感じる季節となりました。
日中はまだ暑さの残る日もありますが、朝夕は過ごしやすくなり、
少しずつ季節の移ろいを感じます。
気づけば今年も残りわずかとなり、時の流れの早さに驚かされます。
季節の変わり目は体調を崩しやすい時期でもございますので、
皆様どうぞご自愛くださいませ。
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【文責】 APEX ソリューション推進部
APEX NEWS 編集者 平井
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編集責任者: 平井 健斗
発行責任者: 堀 智紀
